人材派遣について
人材派遣とは、派遣元となる人材派遣会社に登録した登録者を、派遣先である事業所へ派遣し、派遣先担当者の指揮命令において労働サービスを提供する雇用形態のことをいいます。
企業が独自で雇用する正社員や契約社員などとは異なり、必要なときに必要な期間だけ、必要としている人材を雇用することができるというシステムです。
人材派遣システムが確立する以前は、労働基準法による制約により、企業は必要なときだけ人材を雇用することはできませんでした。
派遣会社と契約している労働者は、派遣会社との雇用関係が生じるため、給与の支払いや福利厚生に関わる一切は雇用主である派遣会社が行います。
また、入社や退社に関する一連の事務手続き関連も、雇用主である派遣会社が行うことになります。
また、労働者派遣法により、労働者派遣契約は従来の業務請負契約と区別されています。
労働者請負契約や業務委託契約の場合、企業と個人の契約になりますが、社員という扱いにはならないので、雇用している企業側は、健康保険や厚生年金、雇用保険などの福利厚生に関わる一切の負担義務がありません。
労働基準法による労働関係法令が適用されないので、賃金、労働時間、休日や休暇について、最低賃金法や労働基準法が適用されず、最低条件を確保することができません。
また、労災保険法による業務が原因となる病気やけがの補償を行ってもらえず、雇用保険法による失業後の所得補填もありません。
請負は仕事の完成を目的とされ、委託は特定の業務処理を目的とされています。
請負契約も委託契約も、事業者として独立した形態により、仕事を処理完成させることになります。
こうした契約とは異なり、人材派遣とは派遣会社に属するので、独立した形態にはならないのです。
日本では、オイルショック後の1975年頃から急速に増え続け、1985年に「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備などに関する法律」が制定されています。
「自己の雇用する労働者を、当該雇用関係の下に、かつ、他人の指揮命令を受けて、当該他人のために労働に従事させることをいい、当該他人に対し当該労働者を当該他人に雇用させることを訳してするものを含まないものとする。」と第二条第一項により定義されています。
しかし、港湾運送業や建設業の一部、施設警備業務である第一号警備業務などは、労働者派遣を行うことができません。
また、派遣先があるかどうかに関わらず、常に派遣業者と雇用契約が結ばれている派遣のことを「定常型派遣」、派遣先がある場合にのみ、派遣業者と雇用形態ができる派遣のことを「登録型派遣」、雇用契約期間が30日以内のものを「日雇い派遣」と呼んでいます。
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