トラブルが起こったときの措置
人材派遣とは、企業が直接雇用して生活を保護している形態とは異なり、必要なときに必要な人材を雇用したいという企業側の希望に沿って労働者が労働力を提供しています。
そのため、派遣される労働者は安定した雇用を望むことができないことが多く、労働者を守るための法令は定められているものの、事業者が法令に反して労働者を雇用するという問題も起こっています。
そのため、法令に反した事業者への対応として、厳しい罰則が定められています。
違反があった場合、検察、警察、労働局、労働基準監督署、社会保険事務所に即座に通報し、または刑事告訴をすることが必要です。
しかし、都道府県の労働局には強制力がなく、労働団体による団体交渉も現実的ではありません。
民事訴訟は、数年間必要になることもあり、弁護士費用などの費用がかかります。
一方、検察、警察、労働基準監督署への刑事告訴は大変厳しい刑の内容となります。
しかし、やむをえない場合は、刑事告訴を行うことが労働者を守る最終手段として必要でしょう。
刑事告訴の場合、告訴状を作成し提出することになりますが、司法書士や行政書士により、約5万円前後で告訴状を代筆してもらうことができます。
弁護士費用としては約10万円ほど必要です。
告訴状は内容証明郵便で送付することが慣例となっており、その他、契約書やタイムカード、作業日誌、職場就業規則などの写し、関係者一覧表、事前面接などにおける音声の記録などの資料があれば、証拠資料として添付するようにします。
刑法第246条詐欺罪により、虚偽のマージン率または派遣料金の明示により労働契約を締結する行為は詐欺罪の「人を欺いて財物を交付」に反する行為としてみなされます。
詐欺罪とみなされた場合、十年以下の懲役が科せられることになっています。
十分な資料や証拠があるにも関わらず、刑事告訴が受理されなかった場合は、各都道府県の監察局や監察課、各都道府県の警察本部監察官室、公安委員会や最高検察庁監察指導部に申し立てを行うことができます。
その場合、国民に与えられた権利の行使の妨害に当たる可能性があるため、刑法第193条の公務員職権濫用違反となり、検察庁に告訴することができます。
さらに検察が不起訴にした場合は、検察審査会に申し立てることができるような仕組みになっています。
しかし、できる限りトラブルは避けたいところですが、派遣労働者は直接企業と労働契約を行っている正社員や契約社員とは異なり、本来、社会や企業から保護されなければなりません。
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